バイオダイナミック農法

バイオダイナミック農法

ワインの世界では一種の流行になっている、バイオダイナミック（ビオディナミ）、通称『ビオ』。
ワイン通の方や自然派コスメに関心のある方なら一度は耳にされたことがあるかと思います。
バイオダイナミック農法とは、自然の営みや生態系を無視した農業の近代化に疑問を持った
オーストリアの学者ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)が提唱した農法である。
近年葡萄畑でのバイオダイナミック農法の実践は、フランスだけでなく全世界の
ワインメーカーで行われるようになっている。
バイオダイナミックは一体どんなものなのか？
バイオダイナミック農法について、お話を進めて行きましょう。

●バイオダイナミック農法？

バイオダイナミック農法とは、太陰暦に基づいた「農業暦」にしたがって種まきや
収穫などを行い、また牛の角や水晶粉などの特殊な物質を利用する有機栽培の一種。
化学肥料や殺虫剤を使わない点では普通の有機栽培も同じだが、異なるのは
宇宙の力まで取り入れていること。
この根底には、すべての生命は、地球上だけで完結しているのではなく、宇宙の全ての
営みからも関係を持っており、調和しながら生きているという考えがある。
なぜなら、太陽系の一部である地球は、天体の大きなリズムの影響を受けていると考える
からなのだ。
このように、自然の大きなパワーを取り入れることで、土地や植物の活力を最大限に
引き出すこの農法は、究極の有機栽培農法とも呼ばれている。<br>

●天体の運行「種まきカレンダー」

バイオダイナミック農法の主な特徴の一つとして、天体の運行（宇宙の自然のリズム）に
合わせて、農作業が行われることがある。
一日のリズムとして、大地は朝になると息を吐き、午後になると息を吸う。
そして薬用植物には、朝に植物内の液流が上昇するリズムがあり、収穫はその時間に
あわせて行う。
また太陽や月、またその他の太陽系惑星や星座の位置関係で、地球に注がれる
エネルギーの質や流れを図った上で農法が実践されるのだ。
具体的に、宇宙から最もエネルギーが注がれる満月の日に種蒔きや、堆肥を与えたりする。
収穫も、それぞれの作物と、その用途に合わせて作業日が決定される。
玉ネギの収穫の例を1つとっても、水の宮の星座に収穫したものは水分が多くて甘く、
火の宮に収穫したものは水分が少なく辛いといった特徴がある。

●特殊な『調合剤』

二つ目の特徴として、この農法は「調合剤」を使い、大地を育むことからはじめる。
それは栄養を与えることではなく、大地そのものの生命力を高めるという考え方からだ。
その調合剤の一部をご紹介します。
雌牛の角に牛糞を詰め、冬の間中眠らせる。春に取り出し、土に散布する前に約1時間、
充分に水の中で撹拌させる。牛の角は人間の脳と同じ働きをするといわれ、
これは根の強化に役立つ。
ノコギリソウを乾燥させ、牡鹿の膀胱に入れて土に埋め、一冬寝かし、夏に出す。
これは硫黄の供給のためである。
樫の樹皮を牛の頭蓋骨に詰める。これは堆肥の頭脳の役割を果たし、非常に活性化
したカルシウムを多く含む。
これらの「調合剤」は、大地にまいたり、堆肥に混ぜ込んで使用する。
これは大地の感受性を豊かにして、天体や地球からの力を受けやすくするため。
それによって植物のパワーもさらに高まるのだ。

【まとめ】
このようにバイオダイナミック農法は大変な時間と手間のかかる方法で、
決して効率的ではありません。
しかし、こうして育てられた植物は人に、肌に、その生命力を吹き込み、
生き生きと輝かせてくれるといわれています。
昔の農民達の間で迷信のごとく伝わってきた星の運行による農業暦の知恵が、
シュタイナーと彼以降の研究者により体系立てられて甦り、評価を得るに至ったのです。
しかしこの農法が一風変わった神秘的なものであるため、違った意見や
冷たい目をする人がいるのも確かです。
それはシュタイナーがどんな人物であったからにまで話がさかのぼります。
次回はそんな、バイオダイナミック農法の興味深い裏の一面と真実に
迫って行きたいと思います。

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